2009年11月 5日

守り伝えたいです 職人さんの技

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こんにちは。入野佳子です。
11月1日の京遊学は、翌日からの寒気を感じさせない陽気で、着物が心地よかったですね。

この日のゲストは、京繍歴57年の職人・下司喜美子さん。(本当は喜じゃなく七3つ)
京繍とはどのようなものかというお話から始まり、後継者問題、下司さんのプロ意識など、柔らかな京都弁で話される奥深いお話に、どんどん引き込まれていきました。

下司さんは、素晴らしい職人魂の持ち主!
仕事の時は、疲れるからと、普段近眼でかけられている眼鏡をはずすのだそうです。仕事の時は"仕事の目"になり、さらに長年の勘や感覚が手伝い、よく見えるそう。集中すると心の目が開くのでしょうか。
また、下司さんはご自身の京繍の教室で、「失敗しても絶対に糸をほどいてはいけない。人生にも、プロにもやり直しはきかない。次は同じ失敗をしないように、今回の失敗を痛みに変えて自分にしっかり刻み込むこと」と指導されているとのこと。とても厳しいですが、これは下司さんがお父様から教わったことだそうで、この考え方が大切なようです。反省することから逃げないことが次へのステップなのですね。
そして、下司さんのこだわりとしては、「自分にしかできないことをする。自分らしさがないと生きていけない」とおっしゃっていました。私も自分にしかできないこと、ということは常々考えてはいますが、生きていけない、ここまでは考えたことがなかったなと、胸に突き刺さりました。
このプロ意識には頭が下がります。

091101京繍3.JPG 一方、日本文化の職人さんにおける後継者問題は深刻だと多方面から聞いてはいましたが、京縫の分野でもかなり切実な問題のようです。
下司さんの後を継ぎたがらない子供さんに対しても、「生活面を考えると継がせるのはかわいそうだと思い、強くは言えない。でもそんなことを言っていたら職人がいなくなってしまう。素晴らしい文化を後世に残せないのは本当にもったいない。国がもっと支援してくれたらいいのに・・・」と嘆く下司さん。
下司さんの旦那様が、「お金は百万円あっても百万円でしかない。でも見る目があれば、百万円で二百万円のものが買える」とおっしゃっているそうです。
「たくさんの物を見てしっかりお勉強し、余裕のある方はお金を出して、いい物を買ってください。そうすれば文化が残るから。そうして職人を皆様の手で育ててやってほしい」。
聞いていて、とても切なくなりました。すばらしい文化がなくならないようにどうにか真剣に考えていきたいですね。

最後には、「まだまだ苦労、苦痛ばかりの毎日。"こんな技術を身につけさせてくれてありがとう"と親に感謝できるようにこれからも頑張っていきたい」とおっしゃっていた下司さん。

人生の先輩からの数々の深いお言葉、とてもいいお勉強になりました。
ありがとうございました!!

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